なぜ高TgのCCLが必要なのか?
― 「熱に強い」とは、単に燃えにくいという意味ではない ―
CCLの仕様を見ると、Dk・DfだけでなくTgという数字も登場します。なぜ高速・高密度基板では、電気特性とは少し違うTgまで気にするのでしょうか。ポイントは、樹脂が温度によって性質を変え、その変化が基板の寸法や信頼性に関係することです。
1.Tgとは何か?
Tgはガラス転移温度です。樹脂材料が温度上昇に伴って、硬く安定した状態から、より分子運動が大きく柔らかな挙動へ移っていく領域を考えるための代表的な指標です。
2.なぜ基板でTgを見るのか?
PCBは使用中にも発熱し、製造時にも加熱されます。温度が変化すると樹脂の機械的な挙動が変わるため、寸法安定性や応力の発生を考える上でTgが一つの重要な目安になります。
温度上昇→樹脂の状態変化→機械特性の変化→寸法・応力・信頼性への影響
3.高Tgなら、すべて解決するのか?
これも単純ではありません。Tgだけで材料の良し悪しは決まりません。Dk・Df、CTE、吸水、弾性率、加工性など、用途に必要な性能を組み合わせて見る必要があります。
| 指標 | 見るポイント | ||||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| T | g | ||||||||||||||||
| 温 | 度 | に | よ | る | 樹 | 脂 | 状 | 態 | の | 変 | 化 | を | 考 | え | る | 目 | 安 |
4.CTEの記事とつなげて考える
前の記事で扱ったCTEは「どれだけ熱で伸びるか」という視点でした。Tgは「樹脂が温度でどういう状態へ変化するか」という視点です。両方を見ると、熱に対する材料設計が立体的に見えてきます。
5.材料設計は「高いほど良い」ではなく「用途に合うか」
高Tg化には材料設計上のトレードオフがあり、加工性や他の物性とのバランスも必要です。電子材料では「高ければ勝ち」ではなく、必要な性能を組み合わせて成立させることが重要です。
まとめ
- Tgは温度による樹脂の状態変化を見る代表的な指標。
- 基板の熱履歴、寸法安定性、信頼性を考える上で重要。
- TgだけでなくCTE・Dk・Dfなどと組み合わせて評価する。
平賀兼好の徒然メモ
電子材料は、カタログの数字だけを見ると単純に見えます。しかし実際には、材料・工程・回路・用途がつながっています。「なぜその性能が必要なのか」まで追うと、別々に見えていた話が一本の線になります。
電子材料は、カタログの数字だけを見ると単純に見えます。しかし実際には、材料・工程・回路・用途がつながっています。「なぜその性能が必要なのか」まで追うと、別々に見えていた話が一本の線になります。