なぜガラスクロスの「織り方」が高速信号に影響するのか?
― 同じガラスクロスでも、信号から見ると均一とは限らない ―
ここまで、Eガラス・NEガラス・Tガラス、そして樹脂含有率まで見てきました。次に気になるのが、ガラスクロスそのものの「織り方」です。なぜ糸の配置や密度が、高速信号の設計と関係するのでしょうか。
1.ガラスクロスは「一枚の板」ではない
ガラスクロスはガラス繊維を束ねた糸を縦横に織った構造です。その周囲を樹脂が満たすため、CCLの絶縁層はガラスと樹脂が複合した材料になります。
ガラス糸+樹脂→複合誘電体→高速信号
2.なぜ「平均のDk」だけでは足りないことがあるのか?
信号が見る電気的な環境は、配線の位置やガラスクロスとの位置関係によって局所的に変わり得ます。特に高速化すると、こうした微小な違いが信号品質の議論に入りやすくなります。
3.だから「ガラスの種類」だけでなく「構造」も見る
EガラスかNEガラスかTガラスか、という材料種の違いだけでなく、糸の構成や織り方、樹脂量、配線位置などを組み合わせて見る必要があります。
| 見る要素 | 高速信号とのつながり | ||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ガ | ラ | ス | の | 種 | 類 | ||||||||
| 誘 | 電 | ・ | 機 | 械 | 特 | 性 | の | ベ | ー | ス | に | 関 | 係 |
4.前の記事「樹脂含有率」と一本につながる
樹脂が多いか少ないかだけではなく、「どこにガラスがあり、どこに樹脂があるか」まで見ると、なぜガラスクロスの設計が高速信号で話題になるのかが見えてきます。
5.材料メーカーと基板メーカーの両方の設計が必要
ガラスクロス、樹脂、プリプレグ、銅箔、配線設計はそれぞれ別の技術に見えます。しかし高速PCBでは、これらを組み合わせて最終的な信号品質を作ります。材料単体の性能表だけでは見えない領域です。
まとめ
- ガラスクロスはガラスと樹脂からなる複合誘電体の一部。
- 高速化すると、織り構造や配線との位置関係も無視しにくくなる。
- ガラスの種類だけでなく、織り・樹脂・配線を一体で見ることが重要。
平賀兼好の徒然メモ
電子材料は、カタログの数字だけを見ると単純に見えます。しかし実際には、材料・工程・回路・用途がつながっています。「なぜその性能が必要なのか」まで追うと、別々に見えていた話が一本の線になります。
電子材料は、カタログの数字だけを見ると単純に見えます。しかし実際には、材料・工程・回路・用途がつながっています。「なぜその性能が必要なのか」まで追うと、別々に見えていた話が一本の線になります。