電子材料業界の「なぜ?」を読み解く
← トップへ戻る

電子材料徒然草

電子材料・PCB・半導体業界の「なぜ?」を読み解く

管理人 平賀 兼好 (ひらが ケンコウ)

なぜCCLは銅箔・樹脂・ガラスクロスを一体で考えるのか?

― 「良い銅箔」だけでは、良い基板にならない理由 ―

ここまで銅箔の厚さや粗さを見てきました。しかしPCB材料を一段深く見ると、銅箔だけで性能は決まりません。CCLは銅箔・樹脂・ガラスクロスからなる複合材料だからです。では、なぜ3つを一体で設計する必要があるのでしょうか。

1.CCLは「銅+樹脂+ガラス」の複合材料

CCL(Copper Clad Laminate)は、絶縁層の両面などに銅箔を積層した基板材料です。絶縁層は樹脂だけでなく、ガラスクロスなどの補強材を含む構造が一般的です。

銅箔樹脂ガラスクロスCCL

2.なぜ樹脂だけではダメなのか?

樹脂は電気特性や加工性を決める重要な材料ですが、基板として使うには寸法安定性や機械的な補強も必要です。そこでガラスクロスが骨格として働きます。

一方で、ガラスクロスも単なる「補強材」ではありません。高速信号用途では、ガラスの誘電特性や織り構造が信号伝送に影響するため、NEガラスのような特殊ガラスが注目されます。

3.なぜ銅箔との界面まで考えるのか?

銅箔は樹脂と接着して初めてCCLの一部になります。したがって、銅箔の表面粗さ、表面処理、樹脂の種類、硬化条件などを切り離して考えることはできません。

低粗度銅箔を使うなら、その低粗度を維持しながら必要な密着性を確保する設計が必要です。

4.高速化すると、なぜガラスクロスまで問題になるのか?

高速信号では、樹脂の低Dk・低Dfだけでなく、ガラスクロスの誘電率や配置による信号経路の違いも無視しにくくなります。

つまり、

「低誘電樹脂を使えば高速CCLになる」ではなく、
「樹脂・ガラスクロス・銅箔を含めて電気特性を設計する」

という考え方が重要になります。

5.AI・HPCで材料設計が難しくなる理由

AI・HPC向けパッケージや高性能PCBでは、高速伝送だけでなく、微細配線、発熱、寸法安定性、信頼性などの要求が重なります。

その結果、材料メーカーには「低Dk」「低Df」「低粗度」「低CTE」などを個別に追うだけでなく、複数の性能を一つの材料システムとして成立させることが求められます。

平賀兼好の徒然メモ
銅箔の記事からガラスクロスの記事へ進んだとき、「なぜ銅の話からガラスの話になるの?」と感じるかもしれません。でもCCLという材料を一枚めくると、全部つながっています。材料を単体で見るのではなく、複合材料として見る。 これが電子材料を理解する一つのコツだと思います。

まとめ